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陰と陽

 

陽気が高まってきましたね。

特にこの冬は例年より雪が少なかったので、雪解けが早そうですね。

雪解けが早いと、農家は山へ登る時期が早まるので、ちょっと大変かな…?

雪が解ける頃になってくると、皆さんソワソワしだしているように見えます。

もしかしたら、もう山に登っている人がいるかもしれません。

朝早くに起きて、歩いて登って融雪剤を撒いてくると聞いたことがありますから、すごいなーと思います。

 

 

さて、冒頭の「陽気が高まってくる」って、よく聞く言葉ですがどういうことでしょう?

イメージは、だんだんと暖かくなるといった感じでしょうか。

 

 

東洋医学には、陰と陽という概念があります。

陽は明るい・熱い・活動的、陰は暗い・冷たい・静かという性質を持っています。

これを季節に当てはめて、冬が陰で夏が陽、春と秋は陰→陽、陽→陰への移行期間としています。

1日の中でも、夜が陰で日中は陽となります。これは自律神経の働きに似ていますね。

東洋医学は何千年も前のものなのではっきりと文献などで見たことはないのですが、

自律神経に当てはめると、陰が副交感神経で、陽が交感神経ということになると思います。

 

 

陽気が高まる・高まってくるというのは、冬という陰の中に陽がちょっとずつ出てきてくすぶっているような状態です。

陽が出切らないために、春先はモヤモヤっとした感じになって、ポーッとしたりちょっとおかしな人が出てきたりするわけです。

また、それとは反対にワクワクする人もいるでしょう。

ワクワクの芽がムクムクと出てくるといった感じでしょうか。

それが夏になると陽が優勢となるので、はっちゃけて開放的な気分になり、そこからまた冬に向けてだんだんと大人しくなっていく感じですね。

陽は夏至に極まり、陰は冬至に極まります。春分と秋分は陰と陽が半々になります。

 

 

そんな中で季節の変わり目の移行期間は特に、体調を崩される方が多いと思います。

人は1日、1年を通して陰と陽のバランスをとりながら生活しているわけですが、

季節の変わり目は、このバランスが取りにくい時期と言えます。

春は三寒四温で、概ね3日寒い日が続いた後4日暖かい日が続き…というのを何回か繰り返してだんだん暖かくなります。

秋は秋の長雨で、雨が降るごとに寒くなると言いますね。

春には暖かくなったと思ったら寒くなるということが起こり、花粉症がつらい方もいますね。秋も急に寒い日があったりします。

こういったことが続いて、体が適応しようと頑張るけれど、処理しきれずに限界を超えると、

陰か陽のどちらかが強くなりすぎたり、弱くなりすぎたりして、体調を崩してしまうと考えられています。

春・秋に限らず、冬は暖房、夏は冷房が効いた室内と外気の温度差も体にはきついですね。

でも、最近は特に夏が高温になりますから、冷房は入れないと熱中症や脱水症で死んでしまうこともありますので、冷房を入れないわけにはいきません。

暑いとそれだけで、体温を保つために汗をたくさんかくなどして交感神経の緊張状態が続くので、体力を消耗して夏疲れが出てしまいます。そこへ秋の気温の変化などで一気に具合が悪くなったりするのです。

いくら高齢の方が冷房が苦手だと言っても、自然がそのように変化してしまったのですから、それに合わせて冷房をうまく取り入れるべきなのです。キンキンに冷やしたり、直接風に当たったりしないようにすると良いと思います。

 

 

東洋医学というのは、いわば自然に沿った考え方であり、それを表現するものの1つが陰と陽です。

私たちは自然の中で自然と共に生きているわけですから、自然に逆らっては生きていくのが困難になりますし、自然に沿って生きる方が体の負担は少ないはずです。

では、どうすれば良いのかというと、「日頃から養生しましょう」としか言えません。

というか、結局「それが一番大事」なのです。KANですね。間違えました。大事マンブラザーズですね。

昔の人みたいに、明るくなったら起きて暗くなったら寝るとまではいきませんが、

早寝早起きや旬のものを食べるとか、疲れたらきちんと休憩して無理をしないとかゆう基本的なことです。

「基本をおろそかにしてはいけない」とよく言いますが、それは体にとっても同じことが言えるということですね。

本来、薬や鍼灸、手術をすることは、やむを得ない場合にだけ用いる下策で、

養生することが上策であり基本なのです。

詳しい養生法についてはまた追って記したいと思いますが、

季節の変わり目をスムーズに乗り切るために、普段の生活を見直してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

※「三寒四温」とは中国北東部や朝鮮半島から伝わった言葉で、元々は冬に使う言葉だそうですが、日本では春先によく使います。

 

 

 

参考文献:「東洋医学のしくみ」新星出版社・兵動明監修、「新釈養生訓」PHP・貝原益軒著・蓮村誠編訳

参考URL:https://kotobank.jp/word/三寒四温-70487